出産手当金・育児休業給付金・出産育児一時金|もらえるお金を公式資料で整理【2026年】

出産手当金・育児休業給付金・出産育児一時金|もらえるお金を公式資料で整理【2026年】 妊娠・出産

この記事の結論

結論:出産前後に会社員が使える主なお金は、「出産育児一時金(原則50万円)」「出産手当金(休んだ期間の日額の3分の2)」「育児休業給付金(休業開始から180日まで賃金の67%、その後は50%)」の3つです。夫婦で子の出生直後に14日以上の育児休業をとるなどの条件を満たすと、「出生後休業支援給付金」が最大28日分、13%上乗せされて、育児休業給付金と合わせて80%(手取り10割相当)になります。条件・上限額は制度ごとに違い、改定されることもあるため、最新の内容は公式の資料でご確認ください。数字は、協会けんぽと厚生労働省・ハローワークの公表資料(2026年10月時点)にもとづきます。

この記事は、私の体験ではなく、協会けんぽと厚生労働省(ハローワーク)の公式資料を、図解して整理したものです。出産や育休の前後は、お金のことが気になるのに、制度の名前が似ていて混乱しやすいと思います。まず全体像をつかむための、地図として使ってください。

ここで説明するのは、主に会社などで健康保険・雇用保険に加入している方の場合です。国民健康保険や、自営業・フリーランスの場合は、制度や条件が異なることがあります。ご自身の加入先で確認してください。

まず全体像:3つの給付と、それぞれの窓口

出産・育休でもらえる主なお金:出産育児一時金は原則50万円、出産手当金は休んだ期間の日額の3分の2、育児休業給付金は180日まで67%・181日目以降50%
出産・育休でもらえる主なお金

名前の似た3つの給付は、「どこから出るか」が違います。

  • 出産育児一時金:加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合、国民健康保険など)から出ます。
  • 出産手当金:会社などの健康保険から出ます。ハローワークの制度ではありません(厚生労働省・ハローワークの資料にも、そう書かれています)。
  • 育児休業給付金:雇用保険から出ます。ハローワークが取り扱う制度です。
出産前後の流れ:産前42日と産後56日は出産手当金、出産は出産育児一時金(原則50万円)、育休から1歳の前日までは育児休業給付金
出産前後の流れと給付

出産の前後に並べると、上の図のようになります。産前・産後に休んでいる間は「出産手当金」、育児休業に入ったら「育児休業給付金」、出産そのものには「出産育児一時金」、という分担です。

① 出産育児一時金:原則50万円

協会けんぽの案内では、出産育児一時金は、2023年4月1日以降の出産で、産科医療補償制度に加入している医療機関で、在胎週数22週以降に出産した場合、1児につき50万円です。産科医療補償制度の加入機関で22週に達しなかった出産の場合は、1児につき48.8万円とされています。多胎児の場合は、胎児の数だけ支給されます。

対象になるのは、妊娠85日(4か月)以降の出産です。生産(早産)・死産・人工妊娠中絶も含まれる、と協会けんぽは案内しています。

直接支払制度が使えることが多い

「直接支払制度」を使うと、一時金が医療機関に直接支払われるので、窓口でまとまった額を立て替える必要が少なくなります。出産費用が一時金より安かった場合は、その差額が、あとから申請して支給されます。反対に、一時金を超えた分は、医療機関に支払います。利用するには、退院までに、医療機関で「直接支払制度の利用に合意する文書」に同意する必要があります。

出産費用の目安は、別の記事で都道府県別・施設別に整理しています。

→ 出産費用の全国平均は約52万円|厚労省データで見る都道府県別・施設別・一時金との差

② 出産手当金:休んだ期間の日額の3分の2

協会けんぽの案内では、被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲で、会社を休んだ期間を対象に出産手当金が支給されます。出産が予定日より遅れた場合は、その遅れた期間も対象です。

休んだ期間に給与が出ても、その日額が出産手当金の日額より少ない場合は、差額が支給されます。出産手当金と傷病手当金は、重複して受け取れません。

計算のしかた(協会けんぽの例)

出産手当金の計算例:標準報酬月額の平均17万円、30で割って5,670円、3分の2で1日3,780円、98日で約37万円の試算
出産手当金の計算例

支給開始日の以前の12か月間の標準報酬月額を平均し、30で割って(10円未満は四捨五入)、その3分の2が1日あたりの額になります。協会けんぽの例では、標準報酬月額の平均が17万円のとき、17万円÷30≒5,670円、5,670円×2/3=3,780円です。

この日額で、産前42日と産後56日の合計98日をすべて休んだ場合は、3,780円×98日=約370,440円になります(私が計算した試算です。実際の額は、標準報酬月額や休んだ日数で変わります)。

なお、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、決められた別の方法で計算します(協会けんぽの案内では、「直近の継続した各月の標準報酬月額の平均」と「全被保険者の標準報酬月額の平均額(支給開始日が令和7年4月1日以降の方は32万円)」のいずれか低い額を使う、とされています)。

退職する場合の注意

資格喪失後でも、「資格喪失日の前日(退職日等)までの被保険者期間が継続して1年以上あること」「資格喪失の前日に出産手当金を受けている(受けられる状態である)こと」の両方に当てはまれば、受け取れます。ただし、退職日に出勤した場合は、資格喪失後の出産手当金を受けられないと、協会けんぽは明記しています。退職を考えている方は、日程を事前に確認してください。

③ 育児休業給付金:67%から50%へ

厚生労働省・ハローワークの資料(2026年8月1日改訂版)によると、育児休業給付金は、育児休業を取った雇用保険の被保険者に支給されます。支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で、育児休業の開始から181日目以降は50%です。

主な条件

  • 原則として、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得できます)。
  • 休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月)が12か月以上あること。
  • 1つの支給単位期間(休業開始日から1か月ごと)の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下であること。
  • 産後休業(出生日の翌日から8週間)は、育児休業給付金の対象外です。出産手当金のほうに入ります。
  • 期間を定めて雇用されている方は、子が1歳6か月になる日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと。

子が1歳になる日の前日までが原則です。保育所に入れないなど一定の場合は、1歳6か月や2歳まで延長できる制度があります。

金額の目安と上限

育児休業給付金の計算例:賃金日額10,000円で、30日分67%が201,000円、出生後休業支援給付金28日分13%が36,400円、合わせて給付率80%
育児休業給付金の計算例

厚生労働省の資料の例では、休業開始時賃金日額が10,000円(賃金月額30万円)で、休業中に賃金が支払われない場合、育児休業給付金は「10,000円×30日×67%=201,000円」です。

上限額は定められていて、2026(令和8)年8月1日改訂版の資料では、休業開始時賃金日額の上限額は16,540円(令和9年7月31日までの額)です。支給日数が30日の場合の支給上限額は、67%のとき332,454円、50%のとき248,100円と示されています。

育児休業中は、申出により健康保険料・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されなければ雇用保険料の負担もありません。育児休業等給付は非課税です。

2025年4月から:出生後休業支援給付金

2025年4月に創設された制度です。厚生労働省の資料によると、子の出生直後の一定期間に、夫婦ともに(通算して)14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、賃金の13%の「出生後休業支援給付金」が上乗せされます。育児休業給付金の67%と合わせて80%(手取り10割相当)です。

  • 対象期間は、父親の場合は子の出生後8週間以内、母親の場合は産後休業の後の8週間以内(出産日から数えると、産後休業を含む16週間以内)が目安です。
  • 配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭などの場合は、配偶者の育児休業がなくても、本人の育児休業だけで受け取れる場合があります。
  • 計算の例(上の図)では、賃金日額10,000円の場合、10,000円×28日×13%=36,400円です。上限額は、28日分で60,205円と示されています。
  • 勤務先を経由して、ハローワークに申請書を提出する必要があります。

もらい忘れを防ぐために

もらい忘れを防ぐ確認の順番:加入している健康保険の確認、勤務先の窓口に相談、医療機関に確認、公式資料で条件を確認
確認の順番

どの給付も、条件と申請が必要で、自動的には振り込まれません。出産予定日が決まったら、早めに、加入している健康保険と勤務先の窓口に、「出産手当金」「育児休業給付金」「出生後休業支援給付金」の申請の流れを聞いておくと安心です。

よくある質問

Q. 出産手当金と育児休業給付金は、同時にもらえる?

対象になる期間が違います。出産手当金は、産前42日から産後56日までの、休んだ期間が対象です。育児休業給付金は、産後休業(産後8週間)が終わってから、育児休業を取った期間が対象で、産後休業は含まれません。

Q. 出産育児一時金は、会社員でなくてももらえる?

厚生労働省のページでは、出産した時点で日本の公的医療保険に加入していて、妊娠4か月(85日)以上の出産であれば、出産の方法や場所を問わず、原則50万円が加入先の保険者から支給されるとされています。国民健康保険の方は、お住まいの市区町村の窓口で、申請の方法を確認してください。

Q. この記事の金額は、自分にそのまま当てはまる?

当てはまりません。標準報酬月額や賃金、休んだ日数、加入先、勤務先の制度(付加給付など)で変わります。この記事の計算は、公式資料の例にもとづく目安です。実際の額は、加入先・勤務先・ハローワークに確認してください。

この記事の図解・データの引用について

この記事の図解は、出典を明記したうえで、ご自由にご利用ください(記事へのリンクをいただけるとうれしいです)。制度の内容や上限額は改定されることがあります。最新の内容は、各公式資料でご確認ください。

参考にした資料

※この記事は医療的・金銭的なアドバイスではありません。制度の適用や金額は、加入している健康保険・勤務先・ハローワークでご確認ください。

あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました